■#3「若い力」

ある朝、登校する蓮川一也(井澤勇貴)と如月瞬(鈴木拡樹)は、
2週間後に迫った体育祭での勝敗をかけてにらみ合う寮生の姿を目撃する。
瞬いわく、緑都学園の体育祭は毎年相当な盛り上がりを見せるらしい。

一也が教室に着くと、クラス委員の橋本(佐久嶋一籠)をはじめ、
辻(緒方涼介)、岩下(川岸銀次)、浦田(越田圭祐)らが、 体育祭で各チームから一人選出されるチアガールについて話し合っていた。
一也たちの所属するC組連合からは、一也と戸丸良武(恭平)の2人が候補にあがっているという。
女装はごめんだと、互いに押し付けあう2人だったが、
突然現れたC組連合大将・池田光流(三浦力)の指名により、チアガールは戸丸に、一也は体育祭実行委員に決定する。
ホッとする一也に、「お前には俺の決めた競技に出てもらう」とそっと囁く光流。

その競技とは、体育祭の花形競技、スウェーデンリレーのことだった。
第3走者の一也は、アンカーの光流にバトンを渡す役目だが、パスのタイミングが合わず失敗ばかり。
第1走者の金田(岡和輝)と第2走者の浦田は、そんな2人を不安そうに見つめる。

   

一方生徒会室では、手塚忍(佐藤雄一)が、教師の一人と優勝チーム予想の真っ最中。
忍は優勝チームを賭けた校内賭博の元締めをしているのだ。
それを見ていた蓮川一弘(大口兼悟)は呆れ顔だったが、忍に誘われ、なぜか大穴のC組に一口のると言い始めた。
根拠を尋ねる忍に、一弘は「一也がいるからな」と余裕たっぷりの表情。

体育祭が3日後に迫っても、相変わらずバトンパスの練習がうまくいかない2人。
寮の部屋に戻った一也は、疲れきって床に倒れこむ。
心配する瞬に一也は「いい加減なことをしたら光流に負けたことになる」と言ってそのまま爆睡してしまう。
それを見て、負けず嫌いなところは光流と似ているのかも、と微笑む瞬だった。

いよいよ体育祭当日。抜けるような青空の下、緑都生たちのテンションは最高潮に。
苦戦が予想されていたC組も、前半終わって3位という大健闘だ。
残す競技はスウェーデンリレーのみ。
逆転を狙って大いに沸き立つC組メンバーを見て、浦田と金田は急にプレッシャーを感じ始めてしまう。

一方、リレーを前に緊張する一也に、光流が「あてにしてるぜ」と声をかける。
今まで練習でしごかれていただけに、予期せぬ光流の言葉に思わずきょとんとする一也。

   

そしてついに、運命のスウェーデンリレーが始まった。
一斉に第1走者がスタートし、ほぼ横並びで第2走者へバトンパス。
が、C組は金田・浦田がまさかのリレーミスでバトンを落としてしまい、C組はあっという間に最下位に転落。
逆転が絶望的となった状況の中、バトンは第3走者の一也へ。
誰もがC組の勝利を諦めかけたその時、一也が思いもよらない走りを見せた!
すでに取り返せないほど開いていた距離をぐんぐん縮め、前を走る走者を驚きの速さで追い抜いていったのだ。
3位集団をごぼう抜きし、コーナー手前で2位を抜き、ついには1位と併走しながら、アンカーの光流のもとへ。
一也から必死に渡されたバトンをがっちりと受け取り、光流は不敵に微笑む。

「やりすぎだ、バカヤロー・・・おれの見せ場がねえじゃねえか!」

トップでスタートした光流は、そのまま1位をキープしたままゴール!
こうしてスウェーデンリレーは、C組連合の劇的な逆転勝利で幕を閉じ、優勝は見事C組連合の手に渡ったのだった。

力尽きてグラウンドに転がる一也の耳に、インタビューに答える一弘の声が届く。
「私は今までただの一度も、彼が人のあとからゴールする姿を見たことはありません」
嬉しそうに一也について語るその声を聞いて、顔をそむける一也。

その後、光流によってC組MVPに選ばれた一也だったが、
見に来ていたすみれに抱きつかれて鼻血を出してしまい、保健室に急行する。
手当てを受けながら一弘に「夏休みは帰ってこないのか」と聞かれるが、帰れるわけがない、とまた意地を張ってしまう。
打ち上げに参加するため、仲間のもとへと走っていく一也の背中を、一弘は穏やかな目で見送るのだった。

   
一覧に戻る