ある日の午後。 買出しに出かけた池田光流(三浦力)と如月瞬(鈴木拡樹)の前に、突然黒い車が停まり、中から出てきた黒ずくめの男達が光流を連れ去ってしまう。 何も知らずに寮で帰りを待つ蓮川一也(井澤勇貴)や手塚忍(佐藤雄一)たちのもとへ、倒れ込むようにして部屋に戻ってきた瞬が叫んだ―― 「光流先輩が連れていかれちゃったよー!!」
予想外の事態に、藤掛達郎(加藤康起)、渡辺由樹(川本稜)、栃沢(一慶)たちも驚きを隠せない。 一也はすぐに警察に連絡しようとするが、忍に制止され、まずは光流の実家に電話をすることに。 どうやら実家に犯人からの連絡は無く、事件のことは何も知らない様子だ。 誘拐の目的が分からない以上、待つのが最善の策だと告げる忍に戸惑う一也だったが、 光流がいない時はお前が寮長代理なのだからしっかりしろ、と忍に言われハッとする。
あるマンションの一室で光流が目を覚ますと、黒服の手下たちを引き連れた謎の女が、不敵な笑みを浮かべながら入ってきた。 女は、拉致した理由はいずれわかる、と告げる。 一体何者だ?と訝しがる光流。
一方、寮で犯人の動きを待つ一也たちだったが、ついに一也は我慢できず、今すぐ光流を助けに行くべきだと忍に意見する。 しかし具体的な手立てはあるのかと問い返され、言葉に詰まってしまう。 光流の方も、なぜ自分が拉致されたのか女に尋ねていた。 すると女は、光流はある男に復讐するための人質なのだと答える。
瞬に、犯人の特徴について聞く一也たち。 瞬いわく、犯人は全身黒ずくめの格好で、目立つ高級車を使って誘拐に及んだという。 あまりに無謀なその手口に一同が唖然としていると、忍がおもむろに立ち上がり、そういうことをしそうな人間に心当たりがある、と言い出す。 誰なのかと聞く一也に、忍はこう答える。 「手塚渚。俺の姉だ。」
意外な犯人に驚く一也たち。 忍の話によると、渚は昔から異常に忍を憎んでおり、恐らくは自分への嫌がらせの為に光流を誘拐したのだろう、と。 一也は早く助けに行こうと忍を急かすが、忍はなぜか全く焦っていない様子。
光流はというと、渚の身の上話を聞かされていた。 忍が、努力しなくともやすやすと栄光を手に入れてしまったこと、次男であるにも関わらず、手塚家の跡取りとして期待されていること…。 渚は兄弟ゲンカのセオリーである、「相手の持ち物を攻撃する」手段に出たのだ。 今まで何一つ弱みを見せなかった忍が、初めて手に入れた弱み…それが光流だと渚は言う。
いつまで経っても忍から全く連絡が来ないことにイラつき始める渚。 対照的に忍は余裕の表情だ。ついにしびれを切らした渚が受話器を手に取る。 表情一つ変えずに電話に出た忍は、渚のマンションの場所を一也の手にメモし、渚の脅しの言葉を完全無視して電話を切る。 そんな忍の態度に一也が怒り出した。 「光流先輩に何かあったら、俺は!!」 …と言ってしまった所で後が続かず、固まる一也だったが、忍はそんな一也の気持ちが嬉しい。 そして、一也と瞬を連れ、渚のマンションへ向かうことに。
マンションに着くと、すぐに突入せずになぜか駐車場に向かう忍。 懐から釘を取り出し、停めてあった渚の高級車にギギギーッとひと思いに傷をつける。 そんな忍の様子を見て、実は忍がものすごく怒っていたことを知った一也と瞬は、思わず微笑む。
渚の部屋では、抵抗して逃げ出そうとした光流が、身ぐるみをはがされ両手両足を拘束されていた。 と、そこへついに忍たち3人が駆けつけた。 どうやって入ったのか、と問う渚に、手にしたドライバーを見せる忍。 たじろぎつつも、渚は取り出したナイフを光流につきつけ、今までのことを詫びて土下座するよう忍に迫る。 場の空気が張りつめた次の瞬間――。 忍と光流が動いた!
忍が黒服たちに襲い掛かり、光流は渚の手の中のナイフを蹴りあげる。 一也と瞬も必死に応戦し、見事黒服たちをノックアウト!あっという間に勝敗は決したのだった。 去り際に忍は、物陰に隠れている渚に、あなたは僕にとってはたった一人の姉なんですよ、と告げて去っていく。
一件落着し、寮に帰ろうとしたところで一也が突然倒れこんでしまう。 どうやらカゼをひいていたのに無理をしていたらしい。 なんでコイツまで連れてきたのかと問う光流に、一也の手にメモした住所を見せ、いい仕事してくれたよ、と微笑む忍。
寮の部屋で目覚めた一也は、傍らに光流がいるのに気づく。 どうやら看病してくれていたようだ。 自分が誘拐されたと聞いて、一也が本気で心配してくれていた事を知り、嬉しい光流。 一也に礼を言って、部屋を後にする。 そんな光流を見送りながら、昔熱を出したとき一弘が同じように看病してくれたことを思い出す一也。 ふいに暖かい気持ちになり、たまには家に帰ろうかと思うが、すぐに「いやいやいや…」と慌てて首を振る一也なのだった。
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