新田美恵子(戸松遥)とのCM出演の話を持ちかけられ、返事が出来ないままでいた光流(三浦力)だったが、
一也(井澤勇貴)と瞬(鈴木拡樹)により、既にその噂は寮じゅうに広がってしまっていた。
話はそのうち学校や近隣にまで広がり、周りの人は皆、光流が出演するものだと思い込んでしまっている有り様。
引き受けるしかないんじゃないか、という忍(佐藤雄一)に、
光流は「こーゆーことすると怒る奴がうちに一人いるんだよ…」とため息をつく。
結局流されるような形で、CMに出ることになった光流は、一也、瞬、忍とともにスタジオを訪れる。
さすがの光流も緊張した面持ちで撮影に臨むが、 美恵子のマネージャー大谷は、忍が名家の息子だと知り、玉の輿を狙って忍に付きっきりに。
が、横を通りかかったスタッフに思いっきり機材をぶつけられてしまい、気をつけてよ!と怒鳴りつける。
振り向いたスタッフは、大谷の隣にいた忍を見てすぐに目を逸らすが、忍はそれを見逃さなかった。
「お久しぶりですね。旭兄さん」
なんと彼は、家を飛び出し行方不明になっていた忍の兄・旭だったのだ。
旭に偶然会ったことを倫子(小橋めぐみ)に報告する忍。
旭の婚約者候補だった倫子は、旭が写真家になりたいと言って家を飛び出してからも、ずっと旭の存在を忘れられずにいたのだ。
それだけに、突然の知らせに動揺を隠せない倫子。
数日後、光流の出演するCMのオンエアが始まり、周囲はその話題で持ちきりに。
が、光流は相変わらずCM出演のことを誰かに知られるのを恐れているようだ。
どうしても光流の弱みを掴みたい一也と瞬は、光流の地元に出向いて聞き込み調査を開始するが、 なかなか有力な情報がつかめない。
あきらめて帰りかけたところで、ばったり五十嵐巳夜(吉倉あおい)と出会ってしまう。お互いに何となく意識してしまう一也と巳夜。
巳夜に光流のことを尋ねてみようと言う瞬に、最初は気の進まない一也だったが、 思い切って光流がなぜ寮に入ったのかを聞いてみる。
すると巳夜は、何も事情を知らない一也たちに思わずこう返す。
「あんたたち、先輩に信用されてないんじゃないか?」
言い過ぎたと思う巳夜だったが、取り繕う気持ちの余裕も無く、一也たちの前から走り去る。
一人になったところで、この間の礼を言うチャンスだったのに、と自分の不器用さを責める巳夜だった。
一方取り残された一也は、巳夜の言葉が胸に突き刺さって離れない。
その頃、倫子は旭のいるスタジオを訪れていた。
驚く旭を食事に誘い、まだ写真の夢を続けているのかと聞く倫子に、旭は「僕のことは忘れていいから、幸せになってくれ」と告げる。
その言葉を聞いた倫子は、旭に別れの言葉を残して店を出て行く。
倫子はずっと自分を助けに来てくれる人を待ち続けていた。
それは別に王子様じゃなくても良かったのだ。
例え旭が手塚家の跡取りではなくなったとしても、そんな事は問題ではなかった…。
数日後、倫子は誰にも行き先を告げずに姿を消すのだった。
寮に戻った一也は、211号室に直行し、光流が寮に入った理由を聞き出そうとする。
「光流に信用されていない」ことを巳夜に指摘されたことが相当ショックだったのだ。しかし光流は不在。
部屋にいた忍に尋ねると、意外な言葉が返ってきた。 「あいつは養子なんだそうだ。」
光流の弟の正十が生まれたその日に、寺の境内に生後およそ2週間で置き去りにされていたところを、その寺の人々に引き取られたのだという。
光流がCM出演を嫌がっていたのは、中学生の頃、光流の写真が雑誌に載りそうになった時に、正十が泣いて怒ったせいだという。
光流の本当の親が名乗り出たらどうするつもりだ、と。光流の生い立ちを聞き、驚いて立ち尽くす一也。
数日後、法事の手伝いとして光流の家へ駆り出されることとなった一也は、光流が弟の正十をはじめ、家族みんなに愛されていることを知る。
それなのになぜ寮に入ったのかと尋ねる一也に、早く家を出ようと思って、と答える光流。
それを聞いた正十は光流を責めるが、俺が他人なのは事実だと言われ、怒って走り去ってしまう。
光流はさびしそうにうつむき、一也に尋ねる。
「なあ、蓮川…やっぱり、他人は兄弟より落ちるかな」
光流の弱い一面を垣間見た一也は、その問いかけに力強く答える。
「関係ないと思います、続柄は…。要は愛だと思います」
光流の実家からの帰り道、駅の近くまで来た所で、2人は巳夜と小泉典馬(標永久)が一緒に歩いているところに鉢合わせする。
驚く一也と、思わず固まる巳夜。
この間のお礼をするよう巳夜に促す典馬に対し、礼なら一也に言うべきだ、と返す光流。
ぎこちない一也と巳夜を見て、典馬は何かを感じ取り、巳夜に帰ろうと声をかける。
すれ違いざま、一也に一言「ごめん」と呟く巳夜…。
巳夜が立ち去った後、一也はどうしていいか分からず、光流に自分の気持ちをぶつける。
「頭の中が血でいっぱいになってるような感じで、苦しくて、なんだかよくわからないけど、おれ…くやしくて仕方ないんだ…!」
ぼろぼろと涙を流しながら、巳夜への気持ちが溢れ出して止まらない一也だった…。
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